従業員が取引先と良好な関係を保つことは企業にとって大切ですが、従業員と取引先が癒着して不正なキックバックやリベートに発展している場合、状況によっては違法行為として摘発されたり行政から指導されたりといった恐れを増大させます。
そのため、フォレンジック調査によって不正なキックバック調査を行い、企業としての健全性を維持することは、事業の安定化を目指すためにも大切です。
キックバックはリベートや仕入割戻・売上割戻などとも呼ばれ、買い手側が売り手側の企業に対して支払った代金の一部を、売り手側から買い手側に払い戻すことを指します。
キックバックやリベートによって払い戻す金額や条件は様々であり、例えば特定の仕入先から優先的に商品を購入する見返りとして、年間支払総額の数%を協力金や謝礼金として変換するといったパターンもあるでしょう。
キックバックは売り手側になる業者にとって営業努力の一環と考えられる場合もありますが、あくまでも取引として帳簿に計上されていなければなりません。
帳簿へ計上されないキックバックやリベートは、脱税行為や賄賂といった不正として判断されます。
複数のメーカーや仕入れ業者が存在する中、自社を選んでもらうためにプロジェクトの責任者や仕入れ担当者へ、仕入れ業者がキックバックを持ちかけることは珍しくありません。また、買い手側の担当者から、取引の代価として個人的なキックバックを持ちかけることもあるでしょう。
従業員が個人的に取引先からキックバックやリベートを受け取っている場合、会社は本来であれば支払う必要のない余剰金を取引先に支払っていることになり、従業員は会社へ損害を与えていることになります。
企業間のキックバックやリベートが違法行為に当たらないのは、あくまでも企業間の取引が適正に計上されて、売上や支出の一部として処理されている場合です。つまり、適切に会計処理が行われず、裏帳簿などによって金銭の授受が行われている場合、売上隠しや不正な贈与・贈賄として判断されます。
個人事業主であれ法人であれ、売上隠しは脱税行為に該当し、税務署に発覚すれば追徴金などの処罰の対象になります。さらに悪質な場合は経営者や担当者が刑事責任を問われることもあるでしょう。
大手メーカーが取引先に高額なキックバックを支払って、仕入れ契約を独占しているような場合、独占禁止法の規制対象になることも考えられます。
不正なキックバックや市場の自由経済のバランスを崩壊させかねない過剰なリベートは健全な商取引を妨害するため、独占禁止法違反や不正競争防止法違反として処罰される恐れがあります。
そのため、キックバックはお金を受け取る側だけでなく、お金を支払う側にとっても注意すべき問題であることを覚えておきましょう。
違法なキックバックが税務署にバレるケースは十分に想定されます。また、税務署に違法なキックバックや不正なリベートがバレる理由としては複数のものが考えられます。
例えば、自社の経営状態や財務状況について税務署の調査が入り、帳簿やお金の流れを全て調べられてキックバックが発覚するかもしれません。また、自社は上手に隠蔽していたとしても、キックバックを支払っている取引先に税務調査が入り、芋づる式に自社の不正が発覚するといったことも起こり得ます。
その他にも内部告発や、ライバル企業からの通報など、不正発覚のルートは様々です。
違法なキックバックを防止するためには、まず社内全体で営業活動や事業活動に関する明確な規定を作成・共有し、取引先にも健全な企業であるとアピールすることが大切です。加えて、従業員にコンプライアンス研修を実施し、法的なリテラシーを高められるようしっかりと教育することも欠かせません。
また、企業としてセキュリティインシデントに対する管理体制を強化することも重要です。
どれだけ従業員教育を行ったとしても、全ての従業員の個人的な事情を把握することはできません。そのため従業員を信頼しつつも常にリスクを想定し、フォレンジック調査やキックバック調査を定期的に行って問題の早期発見や予防に努めることも肝要です。
社内で違法なキックバックや、プロジェクトに関連して不正なリベートが発生していると疑われる場合、速やかに調査を行って違法行為や裏切り行為の証拠を確保することが必要となります。
ただし、キックバックを行っている人間の大半には悪事を働いているという意識があり、簡単に証拠を残していないことも少なくありません。そのため、キックバック調査を迅速かつ適切に実行するためには的確に調査を行える専門業者へ依頼したり、法的トラブルに備えて弁護士へ相談したりしておくことも重要です。
またキックバックでは原則として、買い手側が売り手側に対象の取引において必要のない金額を余分に支払っているため、個々の取引の内容や見積金額の妥当性について適正かどうか検証することも必要となります。
キックバック調査として従業員のメールをチェックしたり、社内サーバに残されている取引データやチャットログを検証したりする作業には、膨大なデータから目的の内容を発見するための調査センスが求められます。加えて、すでに消去されたデータや記録を復元し、証拠として回収するためにはIT関連の専門技術が必要です。そのため、キックバック調査を本格的に実施するには、フォレンジック調査を取り扱っているプロの業者へ依頼することが無難です。
なお、キックバック調査によって不正の証拠が得られれば、企業としては続いて法的に問題解決を目指さなければならず、訴訟対応にも精通していて弁護士との連携も任せられるフォレンジック調査会社を選ぶようにしましょう。
キックバック調査を依頼するフォレンジック調査会社を選ぶためには、以下のようなポイントを意識して比較検討することが大切です。
フォレンジック調査といっても調査内容や目的は多岐にわたるため、キックバック調査について実績のある調査会社を探すようにしましょう。
特に取引の不健全さや違和感に対して敏感に察知できる、専門的な調査員や技術者の存在は重要です。
キックバック調査を行っていると知れ渡れば、当然ながら不正を行っている者は証拠隠滅を図ります。そのため、キックバック調査は容疑者に知られないよう、迅速かつ正確に行わなければなりません。また情報管理についても秘密保持契約を結ぶといった取り組みに対応してくれるかどうかも確認してください。
どのような範囲まで調査してくれるのか、調査の内容や対応可能な技術・機器についてもきちんとチェックします。
フォレンジック調査を行うとしても、不正な手段や違法行為で集められた証拠は訴訟に発展した際に利用できず、むしろ会社側が違法性を指摘される恐れもあります。
そのため弁護士とも連携しながら、合法な手段で、かつ適正に証拠保全を行ってもらえる調査会社を選ぶ必要があるでしょう。
違法なキックバックは支払う側にとっても受け取る側にとってもリスクがあり、場合によっては詐欺罪や背任罪、横領罪といった刑事事件に発展したり、悪質な脱税行為や独占行為として行政指導・罰金の対象になったりする恐れもあります。
しかし、だからこそ不正なキックバックに手を染めている人間はバレないように注意しており、専門的な技術やノウハウを備えたフォレンジック調査会社と弁護士へ相談することが大切です。
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